はりきゅう理論(灸の基礎知識)

灸の基礎知識  

灸の材料

モグサ()について  

 モグサはヨモギ(蓬)の葉から作られる  

(1) ヨモギ  

 キク科の多年生植物  
生産量は新潟県が最も多い  

(2)製法  

 ①5-8 月頃にヨモギを採集  

 ②直射日光または火力で乾燥する

 ③裁断機で葉を刻む  

 ④石臼で葉を粉砕する  

ふるいにかけ大きな夾雑物を取り除くせんいといらないものを ける  

 ⑥唐箕とうみにより細かな夾雑物を除去する

(3) 構造と成分  

主にヨモギの葉の裏面にある毛茸もうじょう腺毛せんもうとからできている  

 ①毛茸:植物の表皮細胞が突出したもの(毛)  
葉や茎などに密生する白毛のこと 
ヨモギの毛茸は T 型をした形状のものが多い  

 ②腺毛:植物の表皮に生じる毛のような突起物で、特殊な液体を分泌するもの  
揮発性の精油が含まれている  
精油の主成分はシネオール   
燃焼によりモグサ独特の芳香を発する  

モグサの質  

 鑑別の要点

精製度が高い精製度が低い
臭い芳香生葉の香りが残る
手触り柔らかい固い
淡黄白色黒褐色
線維細かい粗い
夾雑物少ない多い
燃料時の煙薄い 量が少ない濃い 量が多い
燃料温度低い高い

3) モグサの種類  

灸施術を目的に、主に円錐形や円柱形につくられたモグサを艾炷がいしゅと呼ぶ  

(1) 高精製モグサ  

 患者の皮膚(治療穴)に直接載せて施灸する透熱灸などに用いられる
米粒大や半米粒大の大きさの七分灸、八分灸知熱灸でも使用される

 散モグサ:指で適当な大きさの女性にひねって使用する 米粒大や牛粒大  

 切モグサ: 一定の太さの円柱状の艾炷  

(2) 中精製モグサ  

 灸頭鍼などに用いられる  

 熱量が適度にあり、葉肉などの雑物が少なく、まとまりやすいので、鍼柄につける際にも形が崩れず、落ちづらい  

 小指頭大や母指頭大など、大きめの知熱灸でも使用される  

(3) 低精製モグサ  

 隔物灸棒灸など、間接的に皮膚に熱刺激を与えるときに用いられる  
熱源と皮膚の間に隔物や空間があるため、火力が強い精製度の低いモグサが適している  

2. 線香  

 主原料:タブの樹皮や葉、スギの葉などの粉末  
 施灸:無臭、灰が少ない、着火しやすい、太さは 3 ㎜程度で折れにくいものがよい  

問題)良質艾の精製工程で最も時間をかけて不純物を取り除くのはどれか。

  1. 裁断機
  2. 石臼
  3. けんどん(長唐箕)
  4. 唐箕

答え4

 

(問題) ヨモギの組成のうち精油を多く含むのはどれか。

  1. 葉柄
  2. 毛茸
  3. 葉脈
  4. 腺毛

答え4

灸術の種類

有痕灸   
灸痕を残す施灸法の総称 (直接灸)

1)透熱灸 
 直接皮膚上の経穴、圧痛点などの治療点に置いて施灸する

  • 精製度の高いモグサを米粒大の大きさで円錐形に作る
  • 円錐形:底辺 2.5 ㎜、高さ5㎜、重さ1.3 mg程度
  • 熱刺激を弱くするために細い 糸状灸もある

 2)焦灼灸 
 熱刺激により病理組織の破壊を目的とする灸法

  • 例えばイポ(疣贅)、タコ(胼胝)、ウオノメ(鶏眼)など
  • 痂皮かさぶたが自然に落ちて治癒するのを待つ

3)打膿灸 
 生体の防衛機能を高める目的で行う

①小指から母指頭大程度の艾炷を直接皮膚上で施灸して火傷をつくる
②そこに膏薬を貼付して化膿を促す
③局所の瘢痕治癒までに約1~2ヶ月かかる

  • 小児や虚弱な者には不適
  • 現在、専門の治療所に以外ではほとんど用いられない

 無痕灸   
灸痕を残さず、気持ちのよい刺激を与えて、効果的な生体反応を期待する目的で行う灸法

・有痕灸を禁忌とする部位、小児や女性、虚弱な者などに使用
・有痕灸の禁灸痕を残さず、温かく、気持ちのよい刺激を与えて、
効果的な生体反応を期待する目的で行う灸法(間接灸)
・有痕灸を禁忌とする部位、小児や女性、虚弱な者などに使用
・有痕灸の禁忌:高熱、免疫低下、顔面部、浅層に大血管が見えているところ、傷口

1)知熱灸 
 患者の気持ち良いところで消火する方法

  • 七分灸、八分灸
  • 小指頭大、母指頭大など患者が相当に熱感を感じたら、すみやかに取り除く方法もある

2) 棒灸・箱灸

 患者の気持ち良いところで消火する方法
輻射熱で温熱刺激を与える灸法
棒灸:艾条灸紙包灸ともいう
 箱灸:木製の箱でモグサを燃焼させて患部を温めるもの

3) 温筒灸・台座灸

 モグサの燃焼による輻射熱に加え、筒や台座を伝わる伝導熱によって温熱刺激を与えるもの
温筒灸:紙製の小さな筒の上端にモグサを取り付けたもの

台座灸:中心に穴のあいた紙製あるいはウレタン製の台座の上に紙を巻いた円柱状のモグサを取り付けたもの

 温筒灸:ツボ灸 NEO、カマヤミニ

 温灸器:MT温灸器、電子温灸器

4) 隔物灸

 艾炷と皮膚との間に物を置いて施灸する方法

 ニンニク灸、味噌灸、生姜灸、塩灸、ニラ灸、墨灸、ビワの葉灸など

 押灸:燃焼する棒灸の先端に紙や布などを当て皮膚に押し当てる灸法

5) モグサを使用しない灸法

 薬物のみの刺激を皮膚に加えることを目的

 モグサを使用しないで各種薬物を治療穴に塗布

  紅灸うるし灸

温灸:非侵害性の熱刺激を与えることにより、即時的に身体を温めることを目的とする灸法をいう。
一般には、 棒灸温筒灸などを指す

問題)中指頭大の艾炷をすえた後に吸い出し膏を貼る灸法はどれか。

1. 打膿灸
2. 焦灼灸
3. 透熱灸
4. 薬灸

答え 1

(問題)八分灸が属する灸法はどれか。

1. 焦灼灸
2. 知熱灸
3. 塩灸
4. 温筒灸

答え 2