【生理学1】血液の成分と働き「赤血球・白血球・血小板」

血液の成分と働き「赤血球・白血球・血小板」

こんにちは!今回は、解剖生理学の超重要テーマである「血液と免疫」の中から、「血液とその成分」「赤血球・白血球・血小板」「血液凝固と線溶系」について、解説していきます。

血液の成分と主な働き

私たちの身体の中を流れる血液は、比重1.06(水1.0より少し重い)p H7.40くらいの弱アルカリ性である。体重の約 8% を占めています。
血液は大きく血球(細胞成分)と血漿(液体成分)に分けられます。

  • 液体成分(血漿:約 55〜60%):水分(約 90%)、電解質、タンパク質(血漿タンパク)など
  • 血球成分(約 40〜45%):赤血球・白血球・血小板

💡 血液の4大働き

  1. 物質運搬:酸素や栄養素、ホルモンを運び、二酸化炭素や老廃物を回収する。
  2. 生体防御:白血球や様々な血漿タンパクが免疫を担う。
  3. 止血作用:血小板と血液凝固因子が働いて出血を止める。
  4. 内部環境の維持:体液の浸透圧やpHの維持(緩衝作用)、体温を保つ。
pHを(7.40)程度に保つためのしくみ
  1. 重炭酸緩衝系
  2. ヘモグロビン緩衝系
  3. 血漿タンパク緩衝系
  4. リン酸緩衝系

pH 7.35 未満(酸性)に傾く→(アシドーシス)
pH 7.45 を超える(アルカリ性)に傾く→(アルカローシス)

これらは呼吸性に発症するものと代謝性に発症するものがあり、それぞれ代償作用が腎臓と肺で働く。
 呼吸性アシドーシス:CO2上がる=酸性
 呼吸性アルカローシス:CO2下がる=アルカリ性

 代謝性アシドーシス:H⁺上がる、HCO3⁻下がる=酸性
 代謝性アルカローシス:H⁺下がる、HCO3⁻上がる=アルカリ性

 血漿とは?(性質と成分)

  • 外観:淡黄色・透明の液体で、血液の液体成分(約 55〜60%)を占める。
  • 水分と溶質:成分の約 90%は水であり、その他にミネラル、糖、脂質、アミノ酸、ホルモン、ビタミン、血漿タンパク、老廃物などを含んでいる。

血漿タンパクの種類とその働き

血漿タンパクは、血漿重量の約 7% を占め、その大部分は肝臓で合成される。イオン電荷や大きさの違いからアルブミンとグロブリンに分けられ、グロブリンはさらにa1、a2、beta、gamma-グロブリンに分かれる。

主な作用は以下の通りです:

  1. 細胞のアミノ酸供給源・栄養状態の指標:アルブミンは栄養状態の指標となる。
  2. 浸透圧の維持:アルブミンの関与が大きく、血管内に水分を引きつけて保つ働きをする。
  3. 免疫反応(抗体):gamma-グロブリンは抗体として免疫反応に関与する。
  4. 血液凝固作用:フィブリノゲンなどの血漿タンパク(グロブリンに含まれる)は、血液凝固作用に関与する。
  5. 物質の運搬:ホルモンなどの運搬に関わる。

🩺 鍼灸師向けワンポイントアドバイス

  • 浮腫(むくみ)とアルブミンの関係: 血漿タンパク(特にアルブミン)は、血管内の膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ)を維持し、水分を血管内に引き留める重要な役割を持っています。肝障害や腎疾患などでアルブミンが低下すると、浸透圧が保てなくなり、水分が組織間に漏れ出して浮腫(むくみ)を引き起こします。臨床で下腿や全身の強いむくみを見るときは、こうした体液バランスや内臓機能の低下を念頭に置くことが大切です。

造血と造血因子

細胞成分は骨髄で生産される。
骨髄には赤色骨髄と黄色骨髄があり、赤色骨髄のみ造血機能がある。
骨髄の幹細胞から造血因子によって調整される。

赤血球の機能・生成と寿命

① 赤血球の機能

  • 酸素の運搬:赤血球はヘモグロビン(Hb)を含み、組織に酸素を運搬する。100mLの動脈血は約 20 mL の酸素を溶かしており、成人の心臓は1分間に約5Lの血液を拍出するため、1分間に約 1 L の酸素を運ぶことができる。
  • 炭酸脱水酵素:炭酸脱水酵素を含み、CO2運搬やpH調節にも関与する。

② 生成と寿命

  • 生成プロセス:赤血球は骨髄で、造血幹細胞→前赤芽球 → 赤芽球 と分化・成熟する。赤芽球は核を失って網状赤血球となり、血中に出るとすぐにミトコンドリアを失って赤血球となる。生成には約 7日間 を要する。
  • 寿命:骨髄から血中に出た赤血球の寿命は約 120日 である。1日に全赤血球の約 1% が破壊され、新しい赤血球に置き換わる。

③ 生成に欠かせない因子

  • 鉄:Hbの構成材料。女性の月経時の出血、妊娠中の胎児への鉄の供給、分娩時の出血などで多量の鉄を失うため、鉄の補給が必要である。
  • 抗貧血ビタミン:ビタミンB12や葉酸は赤血球の生成を促すビタミン(抗貧血ビタミン)。ビタミンB12の吸収には胃液中の**内因子**が必要であり、胃の全摘ではビタミンB12吸収不全が起こり、貧血になる。
  • エリスロポエチン:腎臓で分泌されるエリスロポエチンは、赤血球の増殖と成熟を促す。高地移住で酸素不足が続くとエリスロポエチン分泌が増加する。

④ 赤血球の破壊と「溶血」

  • 老化して変形能を失った赤血球は、脾臓で破壊される。破壊されたHbは分解されてビリルビン(黄色色素)となり、肝臓を経て胆汁成分として十二指腸へ排泄される。腸内に出たビリルビンは細菌の作用によりウロビリノゲンとなり、大部分は糞便中に排泄される。遊離された鉄は肝臓や脾臓に蓄えられ、赤血球の生成に再利用される。
  • 溶血:赤血球膜が壊れHbが細胞外に流出する現象。例えば赤血球を蒸留水に入れると溶血が起こり、Hbは分解されO2運搬機能を失う。

貧血とは?

  • 定義:血液全体に含まれる赤血球数あるいはHb量が減少した状態と、それに伴う症状をいう。
  • 主な原因:
    1. 鉄、ビタミンB12、葉酸、タンパク質不足などの栄養不足
    2. 白血病などの骨髄障害
    3. 大量の出血
    4. 脾臓の機能亢進による溶血の亢進
    5. エリスロポエチンの分泌障害

貧血症状への配慮と患者管理: 貧血(赤血球やHbの不足)がある患者さんは、酸素運搬能力が低いため、少しの動作や施術中の体位変換でもめまい、立ちくらみ、動悸、倦怠感を起こしやすいです。問診票などで貧血の有無を確認し、施術時のベッドの傾きや起き上がりの動作に十分な配慮を行いましょう。

白血球

  • 特徴:外部から侵入した異物を排除する生体防御機能がある。赤血球よりも大きく、核を持つ。
  • 分類:顆粒球、単球、リンパ球の3種類がある。
    • 顆粒球:好中球、好酸球、好塩基球(血中では好中球が最も多い)。
    • リンパ球:B細胞、T細胞、NK細胞がある。
  • 増減:白血球の増多は種々の感染症の際に起こる。白血球の減少は、放射線照射や薬物投与などにより骨髄の造血機能が障害された際に起こる。
  • 生成と寿命:顆粒球と単球は骨髄で生成され、リンパ球は骨髄や胸腺で成熟する。顆粒球の寿命は 2〜14日、リンパ球は数日間〜数十日と幅広い。老化した白血球は脾臓で破壊される。

白血球減少と感染予防の重要性: 放射線治療後や薬物治療などで白血球(生体防御・免疫)が減少している患者さんは、感染に対する抵抗力が著しく低下しています。鍼灸院における手指消毒や器具の滅菌・ディスポーザブル化など、徹底した衛生管理がより一層重要となります。

血小板と止血機構

  • 特徴:直径 2〜5 µm の無核の細胞で、血栓を形成して止血に関与する。血小板が減少すると出血傾向になりやすく、逆に増加する疾患では血栓症が認められることがある。
  • 生成と寿命:骨髄で、幹細胞→ 巨核芽球 → 巨核球 と分化し、巨核球の突起が分離して血中に出たもの。寿命は 5〜10日。
  • 止血機構:血管が傷つくと以下の機構が働く。
    1. 損傷血管の収縮:血管の損傷が刺激となって、局所の血管収縮が起こり、傷害部位の血流が減少する。

止血機構と血液凝固・線溶系

血管が傷ついたとき、私たちの身体は次のようなステップで止血を行います。

  1. 血管収縮:血管の損傷が刺激となり、局所の血管収縮が起こる。
  2. 一次止血(血小板血栓):凝集した血小板が血小板血栓(一次血栓)を形成する。
  3. 二次止血(フィブリン網形成):血液凝固機構が働き、フィブリン線維が血小板血栓を強化し、二次血栓となる。
    • 第1相:外因系・内因系凝固因子が働き、Ca2+の存在下で第X因子が活性化される。
    • 第2相:活性型第X因子が、プロトロンビンをトロンビンに変える(プロトロンビンの産生にはビタミンKが必要)。
    • 第3相:トロンビンがフィブリノゲンに作用してフィブリンに変え、血液凝固が完了する。
  4. 線溶系による血栓溶解:血管修復後、プラスミンがフィブリンを分解し、不要になった血栓を溶解して除去する(線素溶解)。

出血傾向と血小板・抗凝固薬の確認: 鍼治療において、微小な内出血(皮下出血や青あざ)は起こり得ますが、血小板減少症や血管の脆弱性がある患者さん、また脳梗塞や心疾患の予防などで抗血小板薬(アスピリンなど)や抗凝固薬(ワーファリン、DOACなど)を服用している患者さんは、出血傾向が高く止血に時間がかかります。刺鍼後の圧迫止血を普段よりも丁寧に行う配慮が必要です。