【生理学1】血圧とその調整の仕組み

血圧とその調整の仕組みを徹底解説!

今回は、循環系の生理学で非常に重要な「血圧とその調整」について、解説していきます。

血圧がどのように生まれ、どうやってコントロールされているのか、そしてそれが臨床でどう活きるのか一緒に見ていきましょう!

血圧と脈拍

(1) 血圧とは?

血圧とは血管内に生じる圧を言います。一般には体循環の動脈血圧をさします。

  • 大動脈で最も高く、末梢に行くにつれて低くなります。
  • 大静脈でさらに低下してほとんど0となります。
  • 肺動脈の血圧は、大動脈の血圧に比べて著しく低いのが特徴です。

また、血管系の総断面積は血管が分枝を繰り返すにつれて大きくなり、毛細血管の部分で最大になります。このような総断面積の増加に反比例して、血流速度は毛細血管部で最小になります。毛細血管の部分の血流速度は非常に遅いので、間質液と血液の間のガス・物質交換が行われやすい仕組みになっています。

提供された画像の内容を整理して表にまとめました。画像内で選択(囲み・チェック)されている項目を反映しています。

大動脈毛細血管
直径大きい 小さい
断面積の総和 小大 
血流速い 遅い
血圧高い 低い
脈流ある ない
管壁の厚さ厚い 薄い
層構造外膜、中膜、内膜の3層 内皮のみの1層
機能遠方への血液の運搬  組織との物質交換

 【鍼灸師向けワンポイントアドバイス】 
鍼治療で微小循環(毛細血管レベル)を改善させると局所のガス・物質交換がスムーズになり、組織の代謝亢進や老廃物の回収が促されます。これが「コリ」や「痛み」の緩和につながる生理学的な背景の一つです。

(2) 収縮期血圧と拡張期血圧

動脈の血圧は、心臓の拍動に伴って変動します。

  • 収縮期血圧(最高血圧): 心臓の収縮期において最も高くなる血圧。
  • 拡張期血圧(最低血圧): 心臓の拡張期において最も低くなる血圧。
  • 脈圧: 収縮期血圧と拡張期血圧の圧差のこと。

個人差はありますが、成人男性の安静時血圧は、
収縮期血圧が約120mmHg、拡張期血圧が約70mmHgです。

(3) 脈拍

手首の母指側付け根(寸口の動脈:橈骨動脈など)に指を触れると、脈拍に触れることができます。脈拍は体の浅いところを走っている動脈で触れることができます。正常では、脈拍数と心拍数は同じになる特徴があります。

【鍼灸師向けワンポイントアドバイス】 
東洋医学の「切診(脈診)」では橈骨動脈の拍動をとらえます。西洋医学的な脈拍の触知技術は、東洋医学の脈診の基礎・安全管理(不整脈や異常な血圧変動のキャッチ)としても極めて重要です。

2. 血圧の調整

(1) 血圧に影響を与える要因

血圧は、心拍出量、末梢血管抵抗、循環血液量の3要素によって調節されます。これらの調節は局所性、自律神経性、ホルモン性に行われます。さらに大動脈の弾性や血液の粘性など、多くの要因が血圧に影響を与えます。

  1. 心拍出量: 1回拍出量×心拍数で表されます。心拍出量が増加すると血圧は上昇する。
    心臓から出る血液の量
  2. 末梢血管抵抗: 細動脈全体の抵抗のことを表します。細動脈の血管壁の平滑筋が収縮して血管の径が縮小すると、末梢血管抵抗が増加して血圧が上昇する。反対に、細動脈の血管平滑筋が拡張して細動脈が拡張すると血圧は低下する。
    例:寒い時血管が狭くなると血圧が上がる
  3. 循環血液量: 塩分の過剰摂取などによって循環血液量が増加すると血圧は上昇し、出血などによって減少すると血圧は低下する。
  4. 大動脈の弾性: 動脈硬化や加齢によって大動脈の弾性が低下すると、血圧は上昇する。
  5. 血液の粘性: 高コレステロール血症などにより血液の粘性(ドロドロ)が高まると、血圧は上昇する。

(2) 局所性調節

  • 心拍出量の局所性調節: スターリングの法則により、心臓への流入血液量が増えると、1回拍出量が増加して血圧を上昇させます。
  • 末梢血管抵抗の局所性調節: 一酸化窒素、ブラジキニンやヒスタミンは血管を拡張させる作用があり、血圧を低下させます。また、血流が組織の需要を下回ると、代謝産物である乳酸やCO_2、アデノシンが蓄積して血管は拡張します。

【鍼灸師向けワンポイントアドバイス】 
鍼刺激によって局所に軸索反射や生体物質(CGRP、ヒスタミン、一酸化窒素など)が遊離され、末梢血管が拡張(サーモグラフィーで見られるような血流改善・軸索反射性紅斑)するのは、この局所性調節のメカニズムと深く結びついています。

<血圧まとめ>

血圧とは…血管内に生じる圧(心拍出産(血流量)×(末梢血管)抵抗) 

脈圧とは…最高血圧(収縮期血圧)-最低血圧(拡張期血圧) 

平均血圧とは…1心周期のすべての圧の変動の平均→最低血圧+脈圧の1/3の圧

血圧に影響を与える因子

血圧上昇血圧下降
心拍出量増減
末梢血管抵抗平滑筋(収縮)→血管径が(減少)平滑筋(弛緩・拡張)→細動脈(拡張)
循環血液量増減
大動脈の弾性弱い強い
血液の粘度粘り気ある  高いサラサラ  低い
血管断面積 少ない 多い

(3) 自律神経性調節

自律神経は、秒単位の短時間で血圧を調節するシステムです。

  1. 交感神経: 交感神経は1回拍出和と心拍数を増加させ、さらに細動脈の血管平滑筋を収縮させて、血圧を上昇させる。
  2. 副交感神経: 副交感神経(迷走神経)は心拍数を減少させて、血圧を低下させる。
  3. 循環中枢: 延髄には血圧を維持するのに重要な循環中枢が存在し、自律神経を介して心臓と血管系を調節します。

(4) 圧受容器反射

頸動脈洞や大動脈弓の血管壁には、血圧をモニターする圧受容器が存在する。体位を変えたり運動をしたりすることによって血圧が上昇すると、圧受容器の情報が循環中枢に伝えられ、交感神経の活動が抑制され、副交感神経(迷走神経)の活動が亢進し、徐脈となり、血圧は低下する。同様の反射は頸動脈洞の圧受容器を外から強く圧迫した際にも引き起こされ、急激な徐脈と血圧低下によって意識を失うこともある。

【鍼灸師向けワンポイントアドバイス】 
頸部への施術(マッサージや強い指圧、あるいは首回りへの鍼通電など)を行う際、頸動脈洞を強く圧迫すると迷走神経反射が起き、急激な血圧低下や失神を招くリスクがあるため細心の注意が必要です。解剖学的ランドマークを確実に把握しましょう。

(5) ホルモン性調節

ホルモンは、分、時間、日単位の中期・長期にわたって血圧を調節します。

  • カテコールアミン、アンジオテンシン、アルドステロン、抗利尿ホルモンなど多くのホルモンは血圧を上昇させる。
  • 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は血圧を低下させる。

今回は「血圧とその調整」についての基礎知識と、臨床に活きるポイントをまとめました。生理学の試験や臨床の現場でも非常に大切な部分ですので、しっかりと押さえておきましょう!