
毫鍼(ごうしん)の各部名称
| 名前 | 特徴 |
|---|---|
| 鍼柄(しんぺい) 別名:竜頭(りゅうず) | 刺入時に指で保持したり、叩いたりする部分 |
| 鍼根(しんこん) | 鍼柄と鍼体の境目 操作時に最も負担がかかり、折損の注意が必要な部分 |
| 鍼体(しんたい) | 身体に刺入される部分 特徴:細く柔軟性のある金属部分 |
| 鍼尖(しんせん) | 鍼を刺入しやすくするための管(管鍼法で使用) 通常、使用する鍼より4mm短い |
鍼の長さ
長さや太さを覚えておく!!
A.鍼体長
1寸→30mm 1分→3mm
1寸3分は 30+(3×3)=40mm
1寸6分は 30+(3×6)=約50mm
B.鍼体径
1番鍼→直径0.16mm (ゴロで覚える 一番イチロー)
2番鍼→直径0.18mm
3番鍼→直径0.20mm
2mmずつ太くなる
2番鍼 の太さ はどれか。
1. 0.14mm
2. 0.16mm
3. 0.18mm
4. 0.20mm
【正解】 ③
毫鍼の鍼尖形状
![]() | スリオロシ形 | 打鍼法で用いる形の鍼。御園意斎が発見した。鍼体の途中から順次細くしたもので、 刺入しやすく曲がりやすい特徴があり、疼痛を与えやすいです。主に腹部の証で使用されます。 |
![]() | ノゲ形 | 柳葉形ができるまで打鍼法で使われていた形の鍼。鍼尖の上部約1.5cmのところから細くしたもので、刺入しやすく曲がりにくいものの、疼痛を与えやすい性質があります。 |
![]() | 卵形 | 鍼尖が卵のように丸みをおびているため曲がりにくい、刺入しにくく、刺入時に鈍痛感を与えやすい形状です。 |
![]() | 松葉形 | 菅鍼で用いる鍼。鍼尖の上部約9mmのところから細くし、ノゲ形に丸みをもたせたものです。刺入しやすく痛みも少ないため、現在最もよく使われています。 |
![]() | 柳葉形 | 撚鍼法で用いる鍼。ノゲと松葉の中間の形にしており、松葉形より少し鋭利にしたもの。 |
鍼の材質
金 柔軟性、弾力性に富む。なじみが良いが腐食にくい。高価で耐久性に劣る(柔らかい)
銀 柔軟性、弾力性に富む。なじみが良いが酸化腐食しやすい。
ステンレス 刺入しやすく、折れにくい。高圧滅菌や通電に耐える 他に比べると柔軟性、弾力性に劣る
(問題) 撚鍼法の刺入時に抵抗感が最も強い鍼尖の形状はどれか。
1. 卵 型
2. ノゲ型
3. 柳葉型
4. 松葉型
【正解】 ①
古代九鍼(こだいきゅうしん)

今から約2,000年前の中国で治療に用いられていた9種類の鍼具(しんぐ)を「古代九鍼」と呼びます。これは現在用いられている各種の鍼の原型となっており、
『黄帝内経(こうていだいけい)』の「素問(そもん)」「霊枢(れいすう)」にその形状や応用方法が記録されています。
9種類の鍼とその特徴・用途
刺入する、しない、どんな用途で使われていたか覚えておく!!
| 破る鍼 | 覚え方 金(金編がつく) |
| 鑱鍼(ざんしん) | 長さ: 1寸6分 特徴: 頭部が大きく、先端が鋭い形状 用途: 熱が頭や身の皮膚にあり、あちこち動くときにその陽気(熱)を瀉す (しゃす=取り除く)。 皮膚の白いところに用いてはならないとされています。 |
| 鋒鍼(ほうしん) | 長さ: 1寸6分 特徴: 筒状から末端が鋭く、刃が三隅にある三ツ目錐(のような形。 「三稜鍼」とも呼ばれます。 用途: 頑固な痛みや痺れ(しびれ)、できものがあるとき、 手足先端の経穴や局所を瀉す(刺絡などで出血させる)ために用います。 |
| 鈹鍼(ひしん) | 長さ: 4寸(先端の幅 2分半) 特徴: 先端が剣鋒(けんぽう)のようになっています。 用途: 癰(よう:皮膚や皮下にできる急性の腫れ物で、背中などにできやすく高熱や激痛を伴うもの)や大膿を切り開くために用います。 |
| 刺入する鍼 | 覚え方 金(金編がつかない) |
| 員利鍼(えんりしん) | 長さ: 1寸6分 特徴: 先端が牛の尾のように丸くて鋭く、中ほどがやや太くなっています。 用途: 急激な痺(ひ:風・寒・湿などの外邪の病症)に深く刺してこれを取り除きます。 |
| 毫鍼(ごうしん) | 長さ: 1寸6分(3寸6分説もあり) 特徴: 毫毛(細い毛)のようで、先端が蚊の嘴(くちばし)のようになっています。 用途: 静かにゆっくり少しずつ刺し進め、目的の深さに達したらしばらく留め、寒熱痛痺を取ります。 |
| 長鍼(ちょうしん). | 長さ: 7寸 特徴: 先端はとがっており、身(針体)は薄い。 用途: 深い邪や痺を取るために用います。 |
| 大鍼(だいしん) | 長さ: 4寸 特徴: 杖のようで、その先端は微かに丸みを帯びています。 用途: 関節に水がたまって腫れているとき、これを瀉すために用います。 |
| 刺入しない鍼 | 覚え方 この2つは覚える |
| 円鍼/員鍼(えんしん) | 長さ: 1寸6分 特徴: 筒状で、先端が卵のように丸い。 用途: 肉の分肉(ごく浅いところ)をこすって気を通すために用います。 |
| 鍉鍼(ていしん) | 長さ: 3寸半 特徴: キビ・アワのような形状で、先端がややとがっている。 用途: 手足の末端付近にある経穴の脈を按じて気を補ったり、邪(じゃ)を出させたりします。 |
(問題) 古代九鍼で関節水腫の排液に用いられたのはどれか。
1. 長 鍼
2. 大 鍼
3. 鋒 鍼
4. 鈹 鍼
【正解】 ②
刺鍼の方法
■ 撚鍼法(ねんしんほう)
・時代:古代中国より伝来
・特徴:鍼管を使わない切皮(管鍼法普及前の主流)
■ 打鍼法(だしんほう)
・時代:安土桃山時代(御園意斎)
・特徴:主に腹部の証から腹部治療を行う(深刺し禁忌)
・スリオロシ型
■ 管鍼法(かんしんほう)
・時代:江戸時代(杉山和一)
・特徴:片手挿管法・両手挿管法がある
・手技:鍼管を使用し、柄の部分を叩打して刺入する
刺鍼の方法(前揉法、後揉法)
1) 前揉法と後揉法
刺鍼部位を指頭(指腹)でもって押圧することをいう。押圧のやり方は取穴した部位に押手の示指または母指で皮膚面をこすらずに中心に向って輪状に深部に達するように揉圧する
・前揉法の作用
①患者に鍼の刺入を予告すること
②刺鍼部位の皮膚や筋肉をやわらげること
③刺激に慣らすものである
・後揉法の作用
①抜鍼後の鍼の遺感覚を除くこと
②小血管からの出血を防止または吸収を促すもの
③反応の変化を確認することである
2) 押手と刺手
・押手 とは、 刺鍼動作のときに や を保持し刺法中の安定を保証するもの
「半月の押手」と「満月の押手」がある
押手のかける圧には左右圧、上下圧、周囲圧の3種がある
| 左右圧(水平圧) | 母指と示指が鍼体をつまむ力の加減のこと | |
| 上下圧(垂直圧 ) | 母指と示指で刺部位にかける圧の加減のこと | ※一度一定の圧を加えたら手技を終えるまで変えないのが原則である |
| 周囲圧(固定圧) | 中指・薬指・小指の指腹と、小指外側から小指球にかけての部分全体で患者にかける圧のこと | ※患者に安心感を与える効果もある |
・刺手 とは、 を持ち鍼を操作する側の手である。刺鍼中の手技などを加え、刺鍼抵抗などを察知する
・響き = 得気いわゆる響きと呼ばれる患者側の感覚で、酸・ 張・重・麻がある。
酸はだるい、張は張った、重は重い、麻はしびれた感覚を意味する。
3) 切皮
・ 切皮 とは、皮膚に接している鍼尖によって皮膚表面を切ることである
・管鍼法の場合は、銭管より出ている鍼柄部分を叩打する弾入行為が切皮である
・前揉法も押手も切皮を無痛で行うための過程である
切皮の重要なポイント
①速度
②リズム
③強弱の加減
・打鍼法は、リズミカルな数度の叩打で切皮するのはよい
4) 刺入法
・旋撚刺法: 鍼を半回転ずつさせながら行う
・送りこみ刺法:手の重みで沈める、刺手の母指・示指で送りこむ
5) 刺鍼の角度
・ 直刺 :皮膚面に対して鍼を直角に刺入する
・ 斜刺 :皮膚面に対して斜めに刺入する
・ 横刺 (地平刺) (水平刺): 皮膚面に対してほとんど平行に刺入する
斜刺2パターン
・第1法:弾入の時から鍼管を目的の角度に傾けて弾入切皮し、刺入する方法
長所:自分の角度でしやすい
短所: 切皮しにくい
・第2法:弾入切皮の時は鍼管を皮膚面に対し直角に立て、切皮後、目的の角度に鍼を傾け刺入する方法
長所:切皮しやすい
短所: 角度をつけにくい
(問題) 押手の周囲圧の目的はどれか。
1. 鍼体を保持する。
2. 刺鍼部の皮膚を圧迫する。
3. 押手がずれないようにする。
4. 筋肉の緊張状態をはかる。
【正解】 ③
| 単刺(たんし)術 | 鍼を目的の深さまで刺入したらすぐに抜除する手技。 鍼を動揺進退させない。 刺激の強度: 弱刺激 | |
| 雀啄(じゃくたく)術 | 鍼を一定の深度まで刺入し、刺手で鍼体か鍼柄を持って、 雀が啄むように上下に進退させる方法。(1mm〜3mmくらい) 刺激の強度: 弱刺激〜強刺激(※刺抜の速度、深さ、時間、回数により異なる) | |
| 間歇(かんけつ)術 | 鍼を目的の深さまで刺入したら、半分抜いてしばらくそこにとどめ、また前の深さまで刺入し、しばらくそこにとどめることを繰り返す方法。 刺激の強度: やや強刺激 | |
| 屋漏(おくろう)術 | (第1法): 目的の深さまで1/3ずつ3回に分けて刺入し、しばらく留める。 抜鍼は刺入時とは逆を行う。 (第2法): 鍼体の1/3を刺入し雀啄術を行い、 刺入されていない鍼体の1/3を刺入し、 雀啄術を行う。抜鍼は刺入時とは逆を行う。 刺激の強度: 強刺激 | |
| 振せん術 | 目的の深さまで刺入した鍼の鍼柄を刺手でつまみ、鍼を振動させる方法。 または刺入した鍼の鍼柄を鍼管や指で弾き波動的刺激を与える。 刺激の強度: やや弱刺激 手書きメモ: 内調術とまちがえやすい | |
| 置鍼(ちしん)術 | 1本または数本の鍼を身体に刺入し、しばらくの間とどめておき、生体の反応を見きわめた後、抜鍼する方法。(おきばり) 刺激の強度: 時間が長いほど強刺激(目安15分) | |
| 旋撚(せんねん)術 | 刺入時または抜鍼時に鍼を左右に半回転ずつ交互にひねりながら行う方法。 目的の深さに刺入した状態で行うこともある。 刺激の強度: 弱刺激〜強刺激(※旋撚の速度、回数により異なる) | |
| 回旋(かいせん)術 | (第1法): 左または右のどちらか一方向に鍼を回転しながら目的の深くまで 刺入する。抜鍼は刺入時と逆方向に回して抜く。(ねじみたいにさす、ぬく) (第2法): 鍼を目的の深さまで刺入し、左または右のどちらか一方向に回転する。抜鍼は刺入時と逆方向に回して抜く。 刺激の強度: 強刺激 手書きメモ: 忘れると、同じ回数でぬく!! | |
| 乱鍼(らんしん)術 | 一定の方式に従わず、数種の手技を併用して強い刺激を与える方法。 (複数の手技を組み合わせる) 刺激の強度: 強刺激 | |
| 副刺激(ふくしげき)術 / 気拍(きはく)法 | 刺入した鍼の周囲の皮膚を、鍼管または指頭で叩き、響きを与える方法。 刺激の強度: 強刺激 ★抜鍼困難(渋鍼 / しぶばり)に用いる | |
| 示指打(じしだ)法 | 鍼を一定の深さに刺入し、その鍼に再び鍼管をかぶせ、弾入のように鍼管の上端を叩く方法。 刺激の強度: 強刺激 ★抜鍼困難(渋鍼)に用いる | |
| 随鍼(ずいしん)術 | やり方・内容: 患者の呼吸に合わせて刺鍼する方法。 【刺入時】呼気時に刺入、吸気時に止める 【抜鍼時】吸気時に抜き、呼気時に止める 刺激の強度: やや弱刺激〜やや強刺激(※刺抜の深さ、時間、回数により異なる) *呼進吸退 | |
| 内調(ないちょう)術 | 刺入した鍼の鍼柄を鍼管で叩打し、鍼体に動揺を与える方法。 刺激の強度: 弱刺激 | |
| 細指(さいし)術 / 散鍼(さんしん)術 | 刺鍼しようとする皮膚部位に対し、弾入・切皮のみを繰り返し行う方法。 刺激の強度: 弱刺激 | |
| 管散(かんさん)術 | やり方・内容: 施術部位に鍼管だけを立てて、弾入の要領で上端を叩打する方法。 特徴: 鍼を使用しない 刺激の強度: 弱刺激 | |
| 鍼尖転移動(しんせんてんいどう)法 | 鍼尖を皮下にとどめ、押手・刺手とともに皮膚を縦横に または輪状に移動させ皮下に刺激を与える方法。 刺激の強度: 弱刺激 | |
| 刺鍼転向(ししんてんこう)法 | 刺入した鍼の方向を変更したい時、一度鍼を皮下まで引き抜き、新たに方向を定めて刺入する方法 刺激の強度: やや強刺激 |
特殊鍼法
1.小児鍼
小児特有の病態(疳虫など) を対象とした鍼治療
症状改善や体質改善を目的として皮膚刺激を中心とする鍼施術
昭和初期に小児科医の藤田秀二 (1884-1981) が軽微な皮膚刺激を特徴とする
小児鍼の技術を普及させる
日本では刺入を伴わないか、もしくはごく浅い刺入を行う鍼法
小児鍼で用いる鍼
①接触 (集毛鍼 ・振子鍼 ・いちょう鍼 )
②摩擦鍼(車鍼( ローラー鍼 )・いちょう鍼 ・うさぎ鍼)
★対象
学童期までの小児
鍼刺激に対して過敏あるいは抵抗感のある成人
★方法
接触(タッチング)、叩打(タッピング)、押圧、軽擦(撫でる)、軽く引っ掻くなどの皮膚刺激を与える
刺激部位は経絡や経穴に限定されず、体表の広い範囲が対象
★適応
小児でみられる疳虫、すなわち夜泣きや夜驚などの症状や、感冒、消化器症状(食欲不振、下痢、便秘)など
2. 皮内鍼法、円皮鍼法
1)皮内鍼
★特徵
赤羽幸兵衛の発案
細く短い(長さ3~7mm) 鍼を筋層へは刺入せず、皮内に水平に刺入し長時間留置し、持続的な刺激を与えるもの
鍼柄は体内に入らないよう円形 (リンク型) か板状 (平軸型)で工夫されている
★適応
疼痛性疾患などに対し、皮内に水平に刺入し長時間留置し、持続的な刺激を与えるもの
数は多くしない
★方法
圧痛点など体表反応を確認しながら刺鍼部位を決定
ピンセットを用いて刺入し、テープで固定する
2)円皮鍼 パイオネックス (セイリン)
★特徴
画鋲状になった短い鍼を刺入、持続的な刺激を与える
中国では撤針と呼ばれる
耳鍼療法に応用されることが多い(耳ツボ)
★適応
皮内鍼の適応に加えて、スポーツ競技者に用いられることが多い
競技時の筋痛、筋疲労に効果がある
★方法
皮内鍼と同様に行う
テープ付きのものも多く利用
3.灸頭鍼法
★方法
置鍼した鍼の鍼柄にモグサを球状に付け点火することで、鍼の機械刺激と灸の温熱刺激を同時に生体に与えようとするもの
鍼は艾の重量を支えるため、あるいは皮膚との距離を保つために50mm、20号鍼以上のステンレス製の単回使用毫鍼を使用する
鍼柄が金属でカシメ式のものを用いる
★適応
肩こり、腰痛、下痢、下肢冷えなど
4.低周波鍼通電療法
★方法
刺入した鍼に低周波の電気を流す方法
使用する鍼: 通電による腐食を考慮して20号鍼 以上のステンレス製の単回使用毫鍼を使用する
★適応
疼痛性疾患など
5. その他
1) イオン鍼療法
異種金属の電位差を利用して治療効果を期待するもの
2)鍉鍼法
古代九鍼のものが使用されている
3)耳鍼療法
耳介上にある特定点に刺鍼して疾患を治療する方法
フランスのポール・ノジェの体系的研究により発展した
4) レーザー鍼療法
刺鍼するかわりに、臉欠へ720mm前後の波長のレーザー光線を照射する治療法
5)刺絡療法
血を出す、高熱リウマチ 感染防止
血絡や井穴または皮膚に毫鍼や三稜鍼を用いて点状刺絡を施す術
6)頭鍼療法
大脳皮質の機能局在が頭皮上に投影されるとする各刺激区を頭皮上に想定し、ここに鍼刺激を加えることによって、脳血管障害など主に中枢神経障害を治療する目的で行われる





