【解剖生理学】これで完璧!細胞の構造・物質移動・ホメオスタシス完全ガイド
解剖生理学の基礎となる**「人体を構成する細胞」と「体を一定に保つ仕組み(ホメオスタシス)」**。 暗記する数値や用語が多くて苦手意識を持ちやすい分野ですが、要点を整理すればスッキリ理解できます!
今回は、教科書の重要ポイントを分かりやすく噛み砕いて解説します。
細胞の基本構造と細胞小器官
ヒトの体は約60兆個の多様な細胞からできていますが、基本構造(細胞膜・細胞質・核)は共通しています。
細胞膜の仕組み
- リン脂質構造: リン酸(親水性:水になじみやすい)と脂質(疎水性:水をはじく)からなる脂質二重層。
- モザイク構造: リン脂質の中に「膜タンパク質」が埋め込まれています。
- 選択的透過性: O2(酸素)やCO2(二酸化炭素)、脂溶性物質は通りやすいですが、イオンや大きな分子(タンパク質など)は通りにくい性質を持っています。

主な細胞小器官の役割
| 細胞小器官 | 主な働き・特徴 |
| 核 | 二重の生体膜(核膜)に包まれ、内部に遺伝情報であるDNAが存在する。 |
| ミトコンドリア | 内膜は「クリステ」というヒダを作る。細胞のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)を合成・供給する。 |
| 粗面小胞体 | 表面にリボソームが付着しており、タンパク質合成の場となる。 |
| 滑面小胞体 | 脂質の合成・分解や、Ca2+(カルシウムイオン)の貯蔵に関与する。 |
| ゴルジ体 | 小胞体から届いたタンパク質を濃縮・修飾し、細胞外へ分泌する。 |
| リソソーム | 加水分解酵素を含み、不要な物質を分解・処理する(掃除係)。 |
| 中心体 | 細胞分裂の際に働く。 |

細胞の死(ネクローシス vs アポトーシス
- ネクローシス(壊死): 傷害や低酸素など非生理的な原因で細胞膜が破壊され、内容物が流出する死に方。
- アポトーシス: 個体をより良い状態に保つためにプログラムされた細胞死(例:胎児期の手の指が形成される過程で間の細胞が死滅すること)。
鍼灸との関連
お灸(施灸)による熱刺激は局所の無菌的炎症や組織損傷(ネクローシス)を引き起こし、それが生体防御反応や血流改善(フレア現象など)を誘発する一因となります。
遺伝子・細胞分裂・タンパク質合成
DNAの構造
DNAは、リン酸・糖(デオキシリボース)・塩基からなる「ヌクレオチド」が連なった二重らせん構造です。
- 4つの塩基: アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)
- 塩基対のルール: A は T と、G は C と必ずペアを組みます。
細胞分裂と染色体
- 染色体の数: ヒトの体細胞には常染色体22対(44本)+性染色体2本=合計46本の染色体があります。
- 女性:XX / 男性:XY
- 体細胞分裂: 娘細胞の染色体数は母細胞と同じ46本。
- 減数分裂: 精子や卵子(生殖細胞)を作る分裂。染色体数は半分の23本(常染色体22本+性染色体1本)になります。
タンパク質合成(転写と翻訳)
- 転写(核内): DNAの二重らせんがほどけ、その塩基配列を写し取った mRNA(メッセンジャーRNA)が作られる。
- 翻訳(細胞質内): mRNAが核膜孔から出てリボソームへ移動。tRNA(トランスファーRNA) がアミノ酸を運んできて、mRNAの暗号(コドン)通りにつなぎ合わせ、タンパク質を合成する。

体液と恒常性(ホメオスタシス)
体液の区分と割合
体重に占める体液の割合は**約60%**です。 (※小児は約70%、高齢者は約50%と、年齢とともに減少します)
- 細胞内液(体重の約40%): 体液全体の約2/3。
- 細胞外液(体重の約20%): 体液全体の約1/3。
- 間質液(約15%): 細胞のまわりを満たす液。
- 血漿(約5%): 血管内を流れる液成分。
★重要!電解質イオンの分布
- 細胞外液に多い: Na+(ナトリウムイオン)、Cl-(塩化物イオン)
- 細胞内液に多い: K+(カリウムイオン)、タンパク質陰イオン
1日の水分出納バランス
成人の1日の水分交換量は約2,500mLで、摂取量と排出量が常に等しく保たれています。
- 摂取(約2,500mL): 飲料水 1,300mL + 食品中の水分 900mL + 酸化水(代謝水) 300mL
- 排出(約2,500mL): 尿 1,500mL + 皮膚(汗・不感蒸泄) 600mL + 呼気 300mL + 糞便 100mL

鍼灸との関連
浮腫(むくみ): 間質液(細胞外液の一部)が異常に増加した状態です。
水分出納の知識(1日約2,500mLの出入、尿1,500mL、不感蒸泄など)は、東洋医学でいう「水(津液)の代謝異常(水滞・水飲)」を西洋医学的に理解するベースになります。
物質輸送のメカニズム
細胞膜を介した物質の移動には、ATP(エネルギー)を使うものと使わないものがあります。
① エネルギーを使わない輸送(受動輸送)
- 拡散: 物質が濃度の高い方から低い方へ移動する現像。
- 単純拡散: O2やCO2がそのまま膜を通る。
- 促進拡散: 膜にある**担体(トランスポーター)**を介してグルコースやアミノ酸を通す(エネルギー不要・濃度勾配に従う)。
- 浸透: 水が濃度の低い方から高い方(溶質濃度を薄める方向)へ移動する現象。
- 濾過: 血圧などの圧力を駆動源として、水や小分子が毛細血管壁を通り抜ける現象(例:腎臓の糸球体)。
② エネルギーを使う輸送(能動輸送)
- 能動輸送: 濃度の勾配に逆らって、ATPを使って物質を強制的に運ぶ。
- 例:ナトリウムカリウムポンプNa+を細胞外へ汲み出し、Kを細胞内へ取り込む)。
- エキソサイトーシス(開口分泌): 小胞が細胞膜と融合し、ホルモンなどを細胞外へ放出する。
- エンドサイトーシス(食作用など): 細胞膜が陥没して異物などを細胞内に取り込む。

赤血球と浸透圧の変化
体液(0.9%食塩水=生理食塩水や5%ブドウ糖溶液)と同じ浸透圧の液体を等張液と呼びます。
赤血球を異なる濃度の液体に入れたときの変化はテスト超頻出です!
- 低張液に入れた場合: 細胞外の濃度が低いため、水が細胞内へ流入 ➔ 赤血球が**膨張・破裂(溶血)**する。
- 高張液に入れた場合: 細胞外の濃度が高いため、水が細胞内から脱出 ➔ 赤血球が収縮する。

まとめ:試験対策チェックリスト
試験前は以下のポイントを言えるかチェックしてみましょう!
- ミトコンドリア=ATP合成、粗面小胞体・リボソーム=タンパク質合成
- DNAの塩基ペア:A-T、G-C / RNAではTの代わりにU(ウラシル)
- 減数分裂後の染色体数は23本(体細胞は46本)
- 細胞外液の主イオンは Na+ と Cl-、細胞内液は K+
- 能動輸送(ナトリウムカリウムポンプ)はATPを消費する
- 赤血球は低張液で「溶血」、高張液で「収縮」
