【からだのしくみ】末梢神経系と12脳神経の基礎!

末梢神経系と脳神経の基礎!臨床で活かすワンポイントアドバイス

こんにちは!今回は解剖学の重要項目である末梢神経系と、その中でも臨床や国家試験で絶対に外せない脳神経について、さらに鍼灸師の臨床で役立つワンポイントアドバイスを交えて解説していきます!

末梢神経系とは?

末梢神経系には脳神経と脊髄神経があり、それぞれ脳および脊髄より出て全身に分布する。

末梢神経系は機能的には体性神経系と自律神経系に分類され、それぞれに求心性神経遠心性神経がある。また、末梢神経系において、神経細胞体の集まりを神経節しんけいせつという。

1. 感覚神経節:末梢の受容器と中枢神経系をつなぐ感覚神経の細胞体は、脳と脊髄に入る手前にあり、感覚神経節を作る。脊髄神経節は感覚神経節に含まれる。

2. 自律神経節:節前神経は中枢神経系に細胞体があり、節後神経とシナプス連絡してから平滑筋や腺を支配する。節後神経の集まりが自律神経節である。

💡 【鍼灸臨床ワンポイント】自律神経と体性神経のつながり

鍼灸治療で自律神経症状(不眠や胃腸症状など)を狙う際、背部にある自律神経節(交感神経幹など)や脊髄神経節を意識した背部施灸(背兪穴など)が非常に有効です。体性-内臓反射のルートを解剖学的にイメージしておくと、手技に説得力が出ます。

脳神経の基本

脳神経は左右12対あり、脳から出る位置によって順にI〜XIIの番号をつける。脳から出て、頭蓋骨の様々な孔を通過して頭蓋の外へ出る。

脳神経は感覚神経運動神経、および副交感神経を含む。感覚神経のみを含む脳神経としては嗅神経、視神経と内耳神経がある。運動神経のみを含む脳神経としては滑車神経、外転神経、副神経と舌下神経がある。他の脳神経は複数の種類を含むため、混合神経という。

脳幹には第III脳神経から第XII脳神経の脳神経核が位置する。また感覚神経と副交感神経では頭蓋の内外に脳神経節が存在する。

12対の脳神経の詳細と臨床アドバイス

(1) I脳神経:嗅神経

嗅覚を伝える感覚神経である。鼻腔の嗅上皮に存在する嗅細胞に起始し、嗅細胞の軸索が嗅神経をつくる。嗅神経は篩骨の篩板を通って嗅球に至る。

(2) II脳神経:視神経

視覚を伝える感覚神経である。網膜の神経節細胞に起始する神経で、視神経管を通って頭蓋内に入り、視交叉を経て視索となり、視床の外側膝状体に至る。

(3) III脳神経:動眼神経

運動神経:4つの外眼筋上直筋,下直筋,内側直筋,下斜筋)と、開眼に働く上眼瞼挙筋の運動を司る。中脳の動眼神経的主核に起始し、上眼窩裂から眼窩内に入る。

副交感神経瞳孔括約筋と毛様体筋を支配する。中脳の動眼神経副核から起始し、運動神経とともに眼窩内に入り、毛様体神経節で節後線維に連絡する。

(4) IV脳神経:滑車神経

外眼筋のひとつである上斜筋を支配する運動神経である。中脳の滑車神経核から起始し、上眼窩裂から眼窩内に入る。

(5) V脳神経:三叉神経

橋から出て、側頭骨錐体部に三叉神経節をつくり、その先で眼神経、上顎神経、下顎神経の3枝に分かれる。  

 i) 1枝:眼神経

 上眼窩裂から眼窩内に入り、眼の周囲と前頭部の皮膚や粘膜、感覚を司る。  

 ii) 2枝:上顎神経

 正円孔を出て、上顎頬部鼻腔硬口蓋などの、皮膚や粘膜、歯髄の体性感覚を司る。  

 iii) 3枝:下顎神経

 卵円孔を出て、下顎外耳などの、皮膚や粘膜、歯髄の体性感覚を司る。  

 下顎神経の枝である舌神経は、舌の前2/3口腔底の粘膜の体性感覚を司る。  

運動神経の働き(運動神経)

 下顎神経に合流して、咀嚼筋を支配する。

臨床のポイント: 三叉神経は、顔面部のツボ(例:欻竹、迎香、下関など)への刺鍼や、顎関節症などの治療において非常に重要な神経です。第1枝〜第3枝の支配領域(皮切)を正確に把握しておくことで、三叉神経痛や顔面の感覚異常に対するアプローチ、および咀嚼筋(咬筋など)の緊張緩和を目的とした施術の根拠が明確になります。

(6) VI脳神経:外転神経

外眼筋のひとつである外側直筋を支配する運動神経である。の外転神経核から起始し、上眼窩裂から眼窩内に入る。

(7) VII脳神経:顔面神経

橋から出て内耳孔に入り、側頭骨の顔面神経管を通る。顔面神経管内でいくつかの枝を出した後、茎乳突孔から頭蓋を出して、耳下腺を貫いて皮下に現れる。

①感覚神経:舌の前方2/3の味覚を伝える。細胞体は顔面神経管内の膝神経節にある。  

②運動神経:顔面の表情筋と舌骨上筋群の一部を支配する。  

③副交感神経:涙と唾液の分泌を支配する。涙腺に分布する節後線維の細胞体は翼口蓋神経節に位置する。顎下腺舌下腺に分布する節後線維の細胞体は顎下神経節に位置する。

【鍼灸臨床ワンポイント】顔面神経麻痺(ベル麻痺など)

茎乳突孔の出口(翳風穴のすぐ近く!)は、顔面神経麻痺の治療で必ずアプローチする重要ポイント。解剖位置を立体的に把握しておきましょう。

(8) VIII脳神経:内耳神経(聴神経)

2つの感覚神経、つまり聴覚を伝える蝸牛神経平衡感覚を伝える前庭神経からなる。

内耳道底で蝸牛神経と前庭神経があわさり、橋と延髄の境で脳に入る。

蝸牛神経はコルチ器官の有毛細胞に分布し、その細胞体は蝸牛内の蝸牛神経節に位置し、延髄蝸牛神経核に達する。シナプス連絡の後、中脳の下丘を通って視床の内側膝状体に至る。

前庭神経は前庭器官の有毛細胞に分布し、その細胞体は内耳道の前庭神経節に位置し、延髄前庭神経核に達する。  

(9) IX脳神経:舌咽神経

舌と咽頭に分布する神経で、延髄で脳を出て、頚静脈孔から頭蓋を出る。

①感覚神経:舌の後方1/3咽頭体性感覚味覚を伝える。頸動脈洞・頸動脈小体からの内臓求心性神経も含む。細胞体は頸動脈孔付近にある舌咽神経の上神経節や下神経節に位置する。

②運動神経:嚥下に関わる咽頭筋を支配する。

③副交感神経:耳神経節で節後線維に連絡して耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。  

(10) X脳神経:迷走神経

大きな神経で、延髄で脳を出て、頚静脈孔から頭蓋を出て、多数の枝を出しながら総頚動脈と内内頚静脈の間を下行し、食道とともに横隔膜を貫いて腹腔に至る。

①副交感神経:咽頭、喉頭、胸部腹部の内臓の機能を司る副交感神経や、これらの部位からの内臓求心性神経を含む。

②感覚神経と運動神経:咽頭喉頭に向かう感覚神経と運動神経を含む。感覚神経の細胞体は頸動脈孔付近にある迷走神経の上神経節や下神経節に位置する。咽頭に向かう神経は舌咽神経と合流して、嚥下運動に関わる。喉頭には反回神経という枝が向かうが、これは発声に重要である。  

💡 【鍼灸臨床ワンポイント】迷走神経と自律神経調整

迷走神経は副交感神経のメインルート。頸部(胸鎖乳突筋の前縁や頸動脈周囲)や耳介(耳甲介部の迷走神経耳枝)への刺鍼・低周波通電は、自律神経失調症やリラクゼーションに大人気です。

(11) 第XI脳神経:副神経

胸鎖乳突筋僧帽筋を支配する運動神経である。延髄と脊髄から出る束が合流し、頸静脈孔から頭蓋を出る。  

💡 【鍼灸臨床ワンポイント】肩こりの根源?胸鎖乳突筋と僧帽筋

肩こり治療で必ず触る僧帽筋や胸鎖乳突筋を支配しているのが副神経。ここを緩めることが首こり・肩こりの根本改善につながります。

(12) 第XII脳神経:舌下神経

舌筋を支配する運動神経である。延髄で脳を出て、舌下神経管から頭蓋を出る。

まとめ